cocoroom
僕が大学生の頃、フェスティバルゲートにあったココルームで1度だけギターを弾いたことがあった。参加費千円で、集まった人とくじ引きでメンバーを2人決め即興を行うのだが、最初友達と2人でやった。最後に主催する向井知恵さんから「加瀬野さんやりましょう」と言われ演奏した。終わって親睦会が始まり、もう1人の主催の人に「加瀬野くん良かったよ」と言われとても嬉しかった。そこにスッと、向井さんが「即興は繰り返さないのよ」と忠告を受けた。僕が演奏した一部に繰り返しがあったからだ。でも僕はその時言えなかったが、譜面上では繰り返す表記になるとしても、そこにも繰り返えしはないと思っていた。即興でそのフレーズが出たのは即興に違いないし、即興は繰り返さないのだからと。でも、向井さんから直々にご指名があったことはとても嬉しかったし、もっとやりたいと思っていたけど、住んでいるところから動物園前までの汽車賃と参加費千円はバイトもしない貧乏な僕にはとても痛手に感じそれ以来参加することはなかった。
あの時、働いて金を作って毎回通っていたら僕はミュージシャンを目指していたのかもしれないが、それだけのバイタリティが当時なかったのだからやっぱりミュージシャンとしてやる気もそれほど強くなかったんだろうと振り返る。友人はよく通っていて、僕の話が時々出たりするらしく、そのことをよく話してくれたが、月日が経つと当然それもなくなった。
僕は誰に聴かせるでもなく家で一人ギターをよく弾いていた。なんのために弾いていたのか…。久しぶりにギターを弾いてそのことを思い出した。