呑んで気分も高揚して再び風俗が頭を過る。狂っている。足湯に若い女が二人浸かっている。ナンパでもしてやろうかと思った。対面に俺も足湯に浸かった。そしたらすぐに50代のサラリーマンがその女に声をかけた。学生さん?いえもう社会人です。あぁ、そうですかー。サラリーマンは女の隣りに座って足湯に浸かった。10分ほどの無会話で、サラリーマンは急に、どうですか?これから呑みに行きませんか?私達、明日仕事なのでけっこうです。あぁ、そうですか。とサラリーマンは直ぐに靴を履いて消えた。女二人は真面目な人だ。僕はその二人に声はかけなかった。ナンパのあとにまたナンパみたいな。しかも、断っているところも僕が知っているのもわかっているし。あとで、熟女も足湯にきた。だから僕はそっちにした。だけど世間話程度だ。風俗に行きたいことだけは伝えた。そのせいかすぐに去った。ホテルに帰ろうと足湯から出た。通りの向こうから派手ないかにもという女が歩いてきた。いいなー。場所的にもスナックかなと。すれ違いざまに、どこの店?と聞いた。女はえ?と、一秒の間があって、あっ、私は違います。と。僕は丁重に謝った。最後に、いやー、綺麗だったから。と。嬉しそうに笑っていた。
ホテルに着く手前で酔っ払いのサラリーマン3人がテリーボジオって言ってたからつい笑った。知ってんの?!って聞かれて、まぁ好きですよ。と。軽く音楽の話をしてホテルに着いた。サラリーマンと同じホテルだった。
翌日、山口駅に向かいザビエル記念館にレンタサイクルで行った。今回の旅行はレンタサイクルに助けられている。着くと偶然牧師さんに出会い、今日これからミサだと言うので参加させてもらった。岡山からきた加瀬野ですと、牧師さんには話した。
ミサを始める前に、牧師さんから僕のことを参加者に紹介して下さった。福山の加瀬田さん。と。惜しい!違います。岡山の加瀬野です。と、訂正した。
ミサの歌はとても簡単な歌で誰でもなんとなくで唄える工夫がされていて宗教らしさがある。
ひざまずく時用の膝台があってはじめ、高速バスとかにある足置きかと思った。初めて僕は神にひざまずいた。
最後に水に着けたパンを牧師から順番に頂くのだが、僕の前でパンがなくなり、その代わりに牧師から頭を触られて、何かを唱えられた。あー、僕もパンが欲しかったなー。と残念がった。
ミサが終わり、ザビエル記念館に入った。ここはデカい。パイプオルガンも最強だ。地下にはザビエルの指の骨などザビエル布教活動の資料や品があった。宗教はなんて素晴らしい!
山口県立美術館にてロベール・ドアノーを見て、あー写真だ。僕は写真が下手だな。つーかあんまり写真を見ても相当良い写真でないと僕は感動しないんだよな。と呟いた。写真で初めて大きな感動があったのは森山大道の犬をみた時。大学生になってからで、写真はごく最近、芸術品として見るようになった。他にも色々な写真家の写真を見たが、写真をみてもあー写真だなというくらいで本当に写真には自分でも困るくらい敏感でない。もちろん好きな写真家、写真はある。こんな僕が撮った写真はやっぱり駄目なのか、Canonの公募も落選した。こんないい写真を落選させる審査員は駄目だと愚かで自信過剰だけど勇気をもって言わせて頂く。その写真はARTにUPする。
自転車で瑠璃五重塔をみて、この五重塔単体で見るより、手前の池から見える姿がベストだと思った。親子でスケッチしている姿もあってそこから見た時も良かった。五重塔周辺の環境が更に五重塔を美しく見せられて良かった。あと何故か中国人団体旅行客もたくさんいた。こんなとこがツアーになってんだなと。他にどこに行くのか気になった。
さらに、自転車で雪舟庭へ行って、庭を見てほっとした。胡座をかいてこの庭を見た。見た瞬間におー、ベラボーはなかった。でも、今思うとあのデカい岩が点々と、池が真ん中にズンと、奥には岩の滝。スケールがデカい。デカいのに威張ってない庭。脂っこくないサラッとした庭だったなと。妙に不思議な感覚だった。ふーん、ってな感じで見ていた自分を振り返った。どうしてだろう。もう一回見たいかなって思った。リピートとしたい庭。
ここの庭以外は工事中とかで、着いて早々変なタイミングに来たと思った。風情はない。寺の中も清掃中で、仏像がたくさんブルーシートの上にあって逆に触れ距離にあり近くで仏像を見れてよかった。普段は見れない後ろ姿も見れた。おばちゃん達がハタキや掃除機やらでやってて、仏像をこんに近くで見れていい仕事ですね!っていうと、私達もそう思うわと、心が洗われるような返事。仏像の埃は取っても、この仕事には誇りを持って頑張って下さいと、上手い言葉を言ってみたがあまり受けなかった。
今回、山口の最初の目的は山口情報芸術センターに行くことで、そこでどのように芸術の普及に取り組んでいるのかを見ることだった。旅の終わりにオマケのような感覚で行った。時間も少なく駆け足で館内を見た。夏休みの子供で賑やかだった。子供達は大人が一所懸命に創作した遊びを破壊するように遊んでいたのが印象的だった。そんな展示物を尻目に階段で集まってDSで遊んだりしていて、やっぱりゲームの方が楽しいよな?って子供に脅すように聞いたせいか、ちょっとビビりながらうなづいて、すぐに逃げた。女の子の1人とダンスする遊びのコーナーで、北海道の踊りと言いながらよさこい節を踊り、その後パソコンを破壊するようにタイピングしフリーズした。それも遊びだ。
帰りの電車で出会った小学生も自分達で作った望遠鏡を鉄砲にして、輪ゴムを車内で飛ばしていた。学校の科学倶楽部の集まりで作ったらしく、先生もいたが遠くの席で子供達とはかなり距離をとっていた。あれだけ騒いで周囲に迷惑をかけている小学生に、おばちゃんが小さな声で一喝していた。遠くに座る先生はその光景をどう見ていたのだろうか。
別の電車では就活中の女学生に出会った。就活大変?って聞いたらうちの学科は生徒が30名なのに対して求人は300社あるので選ぶのに困っているとのことだった。医療系で専門的なせいでもあるらしいが就活生の全てが現在ニュースで言われているような事態ではないようだ。恋愛や学生生活なんかの話で盛り上がった。面白い気さくな子であった。
ヘトヘトに疲れた旅行で帰宅したのは22時過ぎであったのにも関わらず、僕は釣りの師匠と直ぐに釣りに行った。片道2時間の運転で帰りは居眠り運転で死ぬかと思った。